このページに辿り着いたそこのあなたは、きっと大学院は海外で学びたいという高い志をお持ちの方だと思います。
渡航先の国選びで、英語圏で治安がよい人気の国として、米国や英国と並んで、オーストラリアが候補に挙がる場合も多いのではないでしょうか。
確かに、オーストラリアの大学院を選ぶメリットはいくつもあります。
- 英語圏
- 治安が良い
- アルバイト可能
- 気候が良い
- 卒業後に一時滞在ビザが発行される(2年以上でDiploma以上の学位が取得できるコースの修了に限る)
メリットについては留学エージェントが喧伝しているので、あえてこのブログでは紹介しません。
エージェントの甘言に乗せられて、渡航先にオーストラリアを選んだ人は多いのではないでしょうか。
その判断、本当に良い時間とお金の使い方でしょうか。
今回の記事では、留学エージェントが決して伝えない、オーストラリアの大学院に進学する不都合な真実5選を紹介します。
同様の内容について、実際に現地の大学を卒業された方の記事がありましたので、シェアします。

不都合な真実① 高騰する学費
オーストラリアの大学に進学する留学生の数は、パンデミック以後に爆発的な増加を見せています。

増加する学生数を尻目に、大学側がここぞとばかりに強気の学費設定を行っています。
オーストラリアの大学トップと名高いメルボルン大学は、2025年入学の学生を対象に、前年比約7%の学費値上げを発表しています。

macrobusiness.com.auによると、オーストラリアに入国する学生は2024年8月の時点で、前年比114%を記録し、過去最高を更新しています。9月〜12月の記録を含めれば、学生数は低く見積もっても130万人は更新しているのではないでしょうか。


また留学生は、国内の学生に比べて何倍も高い学費を負担させられています。
シドニーにあるUNSWのMaster of Information Technologyを例に出すと、
国内の学生は1年間の学費が$18,500に対し、
留学生の1年間の学費はなんと$122,500、驚異の6.6倍です。

大学にとって留学生は金づるです。金をむしり取ってやろうというあけすけな貪欲さに、呆れを通り越して感心してしまします。
日本は留学生に対して返済不要の奨学金を大盤振る舞いしているのとは、ずいぶん対照的ですね。
不都合な真実② 需給逼迫 借り手不利な住宅市場
増加する留学生の数に対して、住宅の供給がまったく追いついていません。
筆者はパースにある西オーストラリア大学からオファーを受け取り、学生寮に申し込んだ経験があります。
パースという地方都市で、最低で465豪ドル/週〜 という強気な価格設定にも関わらず、
どの学生寮も満員で、途方に暮れた経験があります。
入学の4ヶ月前に申し込んだにもかかわらず、です。
八方塞がりになった投稿主は、LinkedInで在学中の留学生に対してどんな住居に住んでいるか聞いたことがありますが、
学生寮は高すぎるのと入居の競争が激しすぎるため、シェアハウスをしている場合が多いようです。
不都合な真実③ 大学ランキングという虚像
留学エージェントが説明するオーストラリアの大学院に進学するメリットとして、世界のトップ校に比較的低いハードルで入学可能という点がしばしば挙げられます。
この「世界のトップ校」の根拠となるのが、大学ランキングです。
みなさんはこの大学ランキング、どの程度信用できますか?
例えば大学ランキングの一つ、QS World University Rankingの評価基準は、以下のとおりになっています。
Lens | Weighting | Indicator | Weighting |
Research and Discovery | 50% | Academic Reputation | 30% |
Citations per Faculty | 20% | ||
Employability and Outcomes | 20% | Employer Reputation | 15% |
Employment Outcomes | 5% | ||
Global Engagement | 15% | International Faculty Ratio | 5% |
International Research Network | 5% | ||
International Student Diversity | 0% | ||
International Student Ratio | 5% | ||
Learning Experience | 10% | Faculty Student Ratio | 10% |
Sustainability | 5% | Sustainability | 5% |
出典元: QS World University Rankings
さて、オーストラリアの大学は、アジアから殺到する留学生の数を武器に、Global Engagementの分野で点数を荒稼ぎしています。
一方で、研究力の高い東大や京大をはじめとした日本の大学は、このGlobal Engagementの点数が低いせいで、英語圏の大学よりも低い順位に甘んじています。
また、大学ランキングは調査官の主観に依拠しているという指摘がこれまで何度も指摘されています。

果たして大学ランキングがどの程度大学の実力を反映しているかという点には、一考の余地があります。
不都合な真実④ 修士課程(コースワーク)はほぼ留学生で特定の出身国ばかり
オーストラリアの修士課程は主に二種類に分かれています。
- Coursework
- 座学中心
- 学士課程で異なる内容を学んでいた人も履修可能な場合が多い
- 卒業後に就職する人向け
- Reaserch
- 研究者向けのコース
- 博士課程への進学を考えている人向け
さて、オーストラリアの修士課程・Courseworkは、実質的に移民システムの一翼を担っている面があります。
というのも、オーストラリアの大学では、Diploma(Bachelor未満の学位)で2年以上を要する課程を修了した者に対して、一時滞在ビザが付与されます。
この一時滞在ビザの期間にオーストラリアで雇用主を見つけ、学歴に沿う職歴を積むことで、永住権の取得が可能になります。
給与水準の高い先進国・オーストラリアでの新生活を夢見て、毎年アジアの国から多くの学生がCourseworkの修士課程に入学します。
特に、学費が高いメルボルン大学やシドニー大学は中国人留学生だらけで、大学ランキングが低く学費が安くなるにつれて、南アジアの特定の国(インド・バングラデッシュ・パキスタン・スリランカ)出身の学生の比率が高くなります。

オーストラリア出身のネイティブスピーカーたちに囲まれて、自然と英語力アップ✨ なんて想像している場合、期待外れになる可能性が高いです。
不都合な真実⑤ マーケティング費用への過大な支出
オーストラリアの大学進学を支援するエージェントの多さに、疑問をもったことはありませんか?
さらに不思議なことに、留学エージェントのサポート内容は、出願代行のような一番ベーシックなプランであれば、
進学希望者からお金をとらない場合が多いです。
では彼らがどこからお金を得ているかというと、大学からの莫大なキックバックです。
彼らは、多くの留学生を入学させて資金を得たい大学と共謀し、うまい話を並べて学生を入学させようと画策します。
学士号の成績とIELTSさえあれば出願可能だとか、
低いGPAでも入学可能だとか、
入学時期が年で何回も選べるとか、
提携する留学エージェントに、進学希望者にとってウケのいい情報を伝播させて、
一人でも多くの留学生を入学させ、大儲けしています。
投稿主は、過去に留学エージェントが主催する大学留学フェアに参加したことがありますが、
そのイベントの協賛者がオーストラリア大使館商務部で
「はは〜ん、そういうことね」
と彼らがエージェントと結託して金儲けをしている事情を悟ってしまいました。
昨年11月には、オーストラリアにある大学のトップを務める人たちの報酬が、州首相よりも高いという記事が発表され、話題を集めました。

さいごに
オーストラリアの高等教育は、一言で言うと国家ビジネスです。
オーストラリアの大学は、ほぼすべての大学が州立または国立で運営されており、
国をあげて、留学生を囲い込んでたんまり金儲けをしています。
オーストラリアへの留学を検討しているみなさんは、
エージェントの言葉を鵜呑みにしすぎず、様々な角度から情報収集を行い、
大切な時間とお金を使ってほしいとなと願っています。
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